学会活動の継承と未来への発展に向けて

このたび,公益社団法人日本数学教育学会の会長を拝命いたしました。長い歴史と伝統を有する本学会の運営に携わることとなり,その責任の重さを強く感じております。会員の皆様,役員の皆様のお力添えをいただきながら,本学会のさらなる発展に向けて,誠心誠意努めてまいります。
本学会は,創立以来,我が国の算数・数学教育の研究と実践を支える中心的な学会として,大きな役割を果たしてきました。学校教育をめぐる状況が大きく変化する中にあっても,授業研究,教材研究,カリキュラム研究,教師の専門性に関する研究など,多様な研究と実践を結びながら,数学教育の発展に貢献してきたことは,本学会の大きな財産です。
前会長の清水先生のもとでは,学会の基盤強化と研究活動の充実を目指し,5つの柱からなるアクションプランが策定され,その実施に向けた取組が進められてきました。すなわち,メディア戦略による情報発信力の強化,各地区からの学会活動の活性化,学会に対するニーズアセスメント,新規会員の開拓とメンバーシップの強化,法人事業の運営と学会マネジメントの強化です。これらの取組は,本学会が今後も魅力ある学会として発展していくための重要な基盤であり,新体制においても継承し,さらに発展させていきたいと考えております。
その上で,今後の学会活動において,いくつかの視点を大切にしていきたいと考えています。
第一に,若手研究者,若手教員,学生の皆さんが参加しやすく,研究を深めやすい学会づくりです。数学教育の研究と実践は,次の世代の担い手によって発展していきます。若手の会員が研究発表や交流を通して学び合い,継続的に研究に関わることができるような場を充実させることは,本学会の将来にとって極めて重要です。これまで進められてきた若手会員への支援やメンバーシップの拡充を踏まえ,さらに研究交流の機会を広げていきたいと思います。
第二に,教師教育に関する研究と実践の充実です。算数・数学教育の発展には,子どもたちの学びを支える教師の成長と専門性の形成をどのように捉え,支援するかという視点が欠かせません。現職教員の学び,教員養成,授業実践を通した専門性の形成などに関する研究を一層活性化し,学校現場と大学,研究者と実践者をつなぐ学会としての役割を強めていきたいと考えています。
第三に,国際化への対応です。我が国の算数・数学教育には,長年にわたって培われてきた優れた研究と実践があります。一方で,国際的な研究動向から学び,世界に向けて日本の数学教育研究を発信していくことも重要です。国際的な研究交流を促進し,若手研究者や大学院生が海外の研究コミュニティと接続していくことを支援することは,本学会の研究活動をより豊かにするものと考えます。
これらの取組は,前体制で進められてきたアクションプランの延長線上にあります。情報発信力を高めること,地区における活動を活性化すること,会員のニーズを丁寧に把握すること,新たな会員を迎え入れること,そして学会運営の基盤を強化することは,若手研究者の活性化,教師教育の充実,国際化を進める上でも不可欠です。
本学会が、研究者と実践者、学校と大学、国内と海外、そして世代を越えて人と人とをつなぐ学会として、さらに発展していくよう、会員の皆様とともに歩んでまいりたいと考えております。今後とも、会員の皆様のご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
公益社団法人日本数学教育学会 会長
